中途半端な田舎を、世界で一番おもしろい街にする

都内出身の人からは
「故郷があるっていいですね」と言ってもらえることがあり
それはそれで少し誇らしかったりもするのだけれど、
ことさら自然が豊かなわけではない田舎の雰囲気っていうのは
東京で言えば西八王子(高尾の手前)といった感じ。
思い浮かべてやたらに心踊るわけでもない。
 
ぼくの実家がある呉も、そうした地方都市の一つである。
かつての目抜き通りはすっかりシャッター商店街になっていて、
「なんとかしたいなぁ」「なるといいなぁ」と思いつつ、
そこに住んではいなければ、なかなか自分ごとにはならない。
 
その心境が、ここのところ大きく変わってきている。
今年はすでに、三回も帰省をした。
 
理由は、母である。
 
 
母はもともとあまり丈夫な方ではなかったが、
高齢にともない、肺がすっかり悪くなってしまった。
入院して療養すると良くなるものの、
出てしばらくするとまた悪くなり、
入退院を繰り返している。
 
今年の初めには本当に状態が悪くなっていて、
上京する前日には病室で
「これで会うのは最後かも知れないね」と言って握手をした。
 
だから、2月に危篤になった時も、
母は「帰ってこなくていい」と言い、
ぼくも「帰らないつもりだ」と言って、
軽く家族を驚かせた。
 
 
幸い、一命を取り留め、
今ではその時よりも少し元気になっている。
 
ゴールデン・ウィークに帰省し、
さらに夏休みも取って帰省したのは
顔を見せるくらいしか、できる孝行がないからである。
 
あっ。
あと、週に一度は母宛に手紙を書くようになった。
内容はたわいもないことばかりだが、
母は書道が好きなので、もっぱら字を楽しんでもらうため。
というか、「もっと丁寧に書きなさい」と
ダメ出しの機会をプレゼントしている感じだろうか。
若い時には、それが嫌で手紙はほとんど書かなかったが、
今となっては小言を言われるのも良しだと思える。
 
おかげで、
週に一度は「呉」という字を、丁寧に書くようになった。
 
 
 
呉のことを考えるようになったもう一つのきっかけは
意外にもオンラインのつながりである。
 
田原 真人 (Masato Tahara)田原真人さんのご縁で
横川 淳 (Jun Yokogawa)さんという
塾の先生とつながった。
聞けば、呉在住。
というか、同じ町内(阿賀)の出身だった。
ぼくはそうした偶然が大好きである。
 
その横川さんが、ぼくが提供しているシンボルアートの
サービスを申し込んでくれた。
 
シンボルアートは、クライアントの思いや理想を聞いて
それを形にするサービス。
そのヒアリング過程で、
横川さんの呉への思いを聞かせてもらい、
それまでに意識したことのない回線が
つながる感じがした。 
 
横川さんはとても理知的な人なので
情熱的に郷土愛を語られたわけではない。
 
むしろ淡々と、
呉で育っている若い人たちに希望を持ってほしいこと
そのために「一隅を照らす」人になりたいことを
静かに話してもらった。
 
その在り方に、ぐっと来たのである。
おそらく、体温の上がり方が似ているのだろう。
 
 
 
さて、
年配の方や特定の趣味を持っている方には周知のはずだが、
呉はもともと軍港で、戦艦大和を作った街である。
その流れで造船が主要産業となり、自衛隊の基地も置かれた。
 
観光の目玉は大和博物館だが、泊まるところが少なく、
環境客は広島市内に宿泊して日帰りで足を伸ばす形とのこと。
県庁や市役所に勤める友人たちが、
そう教えてくれた。
 
つまり、これまた地方都市の一典型である。
 
 
で、今ぼくは、そんな中途半端な田舎を
世界で一番おもしろい街にしたいと思い始めている。
以下、大部分は妄想的だが、すべての始まりは
誰かの頭に宿った閃きからではないだろうか?
 
もっぱらアートの勉強や活動をしてきたぼくが
カードゲーム作るようになった理由はいろいろあるが
一番すごいと感じている魅力は、
知らない人同士でもすぐに仲良くなれることである。
 
これ、あらためて考えてもらえば本当に不思議な力で
ほぼ魔法とすら思える。
なにしろ、自己紹介の必要すらないのだから。
 
ぼくの作るゲームはすべて5分程度でルールが覚えられるので
15分もすれば、初対面の人同士でなごやかに笑ってもらえる。
その力を街の活性化と観光資源に使いたい。
そう思い始めているわけだ。
 
 
これまで10種類のカードゲームを作ってきて
どのゲームにも愛着はあるものの
このたくらみに一番合致するのは6作目の『時の祭壇』だと
思っている。
ぼくが作った中では一番凝ったゲーム。
 
このカードゲームは、自分専用の35枚セットを持ち、
同じセットを持っている人と遊べるのが特徴である。
そして、裏面が同じであれば、
表面のデザインは好きに変えられるので
完全に自分専用のカードセットを持つことができる。
 
自分だけのカードセットを持っている人たちが
たくさん住んでいる街。
ちょっと扇情的に言わせてもらえば、
『Pokemon GO』よりもずっとワクワクする冒険が
そこにはあるはずだ。
人間にとって、人間以上におもしろいものはないのだから。
 
 
街の外から来る人は、
事前に自分専用のカードを作って呉に乗り込んでもいいし
街を訪れた記念にそれを作ってもいい。
自分だけの、あるいは家族だけの完全にオリジナルの
お土産ができるだろう。
 
そして、この仕掛けを楽しめるのは日本人だけではない。
カードゲームの良いところは、
簡単なルールを覚えれば、
言葉が通じなくても一緒に楽しめること。
 
それこそ、ぼくにとっての世界平和のイメージだし、
「世界で一番おもしろい街にする」という大風呂敷を
広げる所以でもある。
 
住んでいる人同士が仲が良く、
住んでいる人と訪れた人がすぐに仲良くなれ、
さらには、訪れた人同士も仲良くなれる。
そんな街があったらサイコーではないでしょうか?

 

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